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平成30年10月度部会を開催しました
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- 2018.10.24
会 場:在日本韓国YMCA アジア青少年センター(東京都千代田区)
来場者:89名
10月16日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/笠井聰夫代表理事・会長)は、東京都千代田区の在日本韓国YMCA アジア青少年センターにおいて、第175回理事会ならびに10月度部会を開催した。
今回の部会では当協議会の遊技機研究委員会によるパネルディスカッションが行われた。テーマは「当面の諸課題を見据えて今備えること」とし、日頃研鑽を重ねている遊技機の活用に関する話題はもちろん、店舗の営業や会社の経営にまつわる懸案事項を取り上げ、各パネラーからは取り組み事例や現在試行している事などが語られた。
また部会冒頭では会員プレゼンテーションとして合同会社DMM.comから同社が推進する健康保険組合設立プロジェクトの紹介があった。
会員プレゼンテーション
合同会社DMM.com「アミューズメント総合健康保険組合(案)について」
DMM.comからアミューズメント産業の業種を対象とした総合健康保険組合の設立構想について、同社・経営企画室健康保険組合設立プロジェクトリーダーの菊池諒介氏から紹介があった。同社では遊技業界で活動する企業の多くは全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入していることから、遊技業界をはじめとするアミューズメント産業全体における労働者数の規模や協会けんぽが抱える問題点に鑑み、産業発展に寄与すべく総合健康保険組合の設立を目指し、関係各所へ働きかけを行って来た経緯がある。
今般、同社はアミューズメント産業業種を対象とした組合「一般社団法人アミューズメント産業雇用環境協会」を設立し、同協会を運営主体する「アミューズメント総合健康保険組合」の実現を図っている。同協会の加入対象業種はパチンコ、カラオケ、複合カフェ、ゲームセンター、ボウリング等としている。総合健康保険組合の成立には厚生労働省による認可が必要であることから、今後は申請に向けた活動を展開していく。
協会けんぽは現在までに多額の累積赤字を抱えていることが問題として指摘されるところとなっており、将来的な保険料率の値上げが懸念されている。保険料率の上昇は企業にとっての経営の圧迫と、従業員における手取りの減少等としてあらわれるため、企業にとっては福利厚生の低下、従業員にとっては労働意欲の低下を招かねないという。そこで総合健康保険組合を別途立ち上げ、アミューズメント関連業種向けに協会けんぽよりも低い保険料率での運営と高い福利厚生サービスの提供を実現したい考えであることが伝えられた。
遊技機研究委員会パネルディスカッション
「当面の諸課題を見据えて今備えること」
余暇進遊技機研究委員会では今期から遊技機性能に関する研究のみならず、マーケット動向を踏まえた営業戦術上の観点に立った議論も行うなど、活動の範囲を広げている。改正遊技機規則の施行から半年以上が経過し、パチンコ・パチスロともに新規則機がようやく登場するようになった昨今、依然、市場は旧規則機による営業を中心としているが、旧規則機には使用期限の問題もあり、先々にある諸課題をより具体的な計画の下、実行して行かなければならない時期に差し掛かっていると言える。
そこで今回の部会に招聘された当遊技機委員会では「当面の諸課題を見据えて今備えること」をテーマに据えた上で「パチンコ・パチスロ新規則機について」、「高射幸性回胴式遊技機のシェアコントール」、「改正健康増進法による喫煙専用室の設置について」、「働き方改革関連法の成立で今後の対応について」の4点を取り上げ、登壇する委員が各々の意見を交換するパネルディスカッションを行うこととした。
パネルディスカッションにおいて最初の話題は新規則機について。この日までに登場した新規則機はパチンコが約10機種、パチスロは広く流通した機種は1機種といった状況で、途に就いたばかりだが、パチンコ新規則機の特徴である設定付きパチンコについて、古磯氏は自店で使用した感想を次のように紹介した。
古磯氏は「業界初設定付きパチンコということもあって注力したところ、近隣では一番台数が入った結果であった。設定という要素がこれまでのパチンコプレイヤーには無かった新しい目先となっていることを、幅広い客層に遊んでもらえていることからも実感している。高設定への期待感を上手に汲み取ることが肝要だと考えている。また、従来の新台導入から日にちを経てやってくる飽きに対しても、設定という要素が加わったことで、それを遊技動機に選択するお客様が現れることに期待している」、「それでも市場全体で設定付きパチンコのシェアが一気に伸びるというイメージはなく、おそらくライトコーナーを中心に増えていくものと予想している」と述べた。
一方、ホールコンピュータ等の周辺機器や遊技機開発の仕様に明るい北瀬氏は、この設定付きパチンコについて「当然、設定毎に出玉率の差が生じるので、運用上の基本となるシミュレーションをしっかり行って欲しい。パチスロでは当たり前となっている設定を推測する演出も搭載されているので、性能を知ることと合わせて活かしていく考え方が今後は必要になるかと思う」と運用方法に対する考え方も、パチンコにはこれまでにはなかった要素が入って来ていることを留意するよう促した。
次にパチスロの新規則機である6号機とあわせ「高射幸性回胴式遊技機のシェアコントール」について、司会の郭委員長から意見を求められた岩本氏は「最近導入が始まった機種については射幸性は低いものの、スピード感はあるという感想だ」と述べ、当初の想像よりも仕上がりが良く、今後に続く6号機についても稼働に期待が出来ると感じれば積極的に導入していきたいとする姿勢を示した。一方、シェアコントロールに関しては「旧規則機の入替えともども考えているが、経営の支店からは現状の延長線上でキャッシュフローがどうなるのか。有利子負債の規模は、などを積み上げて思案している。旧規則機の入替えに関しては、時々の新台を活用するのかしないのか、しないのであればコア・コンピタンス(競合他社に真似られない競争力)になりえるものはなにか、すべての事柄がひとつのストーリー性を持ってイメージできるのかが重要だと思う」と語った。
この他の話題である「受動喫煙の防止」については「補助金の活用」や「紙たばこの対策は急ぐ必要があるだろう」、「駆け込みではモノ自体が間に合わない可能性も考慮すべき」などと早期対応を念頭に行動するべきだろうとの意見でまとまった。
「働き方改革」について岩本氏は「会社側の管理体制が求められている部分があるためIOTを活用できる部分は積極的に導入し、適正化を図っていきたい。省力化・省コスト化を進めうつつ、出来た時間を人材が育つように各種の取り組みを進めている」と話し、自社の事例を紹介した。また古磯氏は「自分が駆け出しの頃は必要なスキルやノウハウを得るためには、労働時間という意識なく、長時間を費やしていたが、今後は、企業はそれを黙認してはならない。適正な勤務時間内で仕事の質を下げず、かつ人材が育つようにするためにはどうするのかが課題だと思っている。目下、労働意欲を上げるための施策を考えているが、ひとつには気持ちや心に作用するもの、例えば“褒めること”であったりを、意識しながら取り組んでいきたい」と語った。他方、上場企業であるサン電子の北瀬氏からは、時間有給制度やコアタイムを設定した上でのフレックスタイム制の導入がはじまっていると紹介。労働環境は変わって来ていると実感していると伝えた。
改革と労働力の確保、その上での生産性の向上といった課題は営業現場から見えない部分であるが、遊技業界にあっては採用難といった従前からの問題も抱えており、組織体制や労務に対する関心の高さがうかがえる話であった。