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特別座談会 2017
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- 2017.12.9
特別座談会
激変期を迎えたパチンコ業界と
余暇進が担う役割と方向性
収録日:平成29年7月31日
業界を取り巻く環境が日々厳しさを募らせる中、風営適正化法施行規則と遊技機規則の大改正が行われることが決まりました。業界全体に危機感が広がっているこうした時こそ、あらためて団体としての立ち位置を明確にする必要があります。そこで今回、金海、千原両副会長と当会の顧問弁護士も務める渡邊理事、さらに同じく弁護士でもある坂下理事に参加していただき、激変期を迎えた業界で余暇進が担う役割について、語っていただきました。座談会は規則改正に向けたパブリックコメントの期間中に行いました。
金海龍海副会長 私も長くホール経営に携わってきましたが、今回の規則改正はのめり込み問題と規制の関係が今ひとつ不明瞭な中で行われている印象があって、かつてない危機感を抱いています。遊技機の射幸性が落ちること自体より、この流れはどこまでいけば落ち着くのかといった、先行きの不安が大きい。遊技機の射幸性が下げられるにしても、パチンコやパチスロといった遊びの面白さまで失われることは、どうしても避けなければならない。今回の改正は、それが大きな不安要素です。
千原行喜副会長 遊技機の性能を下げなくとも、適切な賞品提供の徹底、いわゆる脱業界等価等の営業方法にも目を向け、いろんなバランスの中で手軽に遊べる遊技環境をもっと模索しなければなりません。遊技機性能のみに視点を向けず、その他の環境も含めてお客様に適度に楽しんでいただける遊技性を提供できるような環境整備が今こそ必要なのではないでしょうか。
渡邊洋一郎理事 弁護士という立場で今回の規則改正案をみた時、私は事業としてのパチンコが壊滅的な打撃を受ける改正案ではないかと直感的に思いました。まずもって、IR関連の法律で整備していこうというギャンブル性の高いカジノと、風営適正化法でコントロールされているパチンコを、依存問題というテーマが出たついでに一緒に規制してきた印象が拭えません。
坂下大貴理事 私も同様に思いました。改正案はIR推進法の付帯決議で示された依存対策で出てきたものですが、そこから「過度な遊技の抑制」という言葉にいきなり飛びついているように映ります。その理論的な関係とか、さまざまなデータ分析や実態の裏付けといったものが弱く、刑法でいうところの「一時の娯楽に供する」という言葉と、風営適正化法における「著しく射幸心をそそるおそれ」という言葉、そしてこの「過度な遊技」という言葉の関係性が見えてきません。
千原 ホール経営の立場でいえば、今回もそうですが、高額な遊技機を使い切る前に撤去せざるを得ない状況が起こることが腑に落ちない。業界は社会や行政から何か指摘されるとその原因や責任の所在をはっきりさせずに、ほとんどホール負担による機械の撤去で問題解決を図ってきましたが、これでは事業として安定しません。私たちの今後の課題は、こうした不安定さを解消していくことではないでしょうか。
渡邊 そういう面でいえば、ホールの立場では言いにくいことでしょうが、今回の改正案では遊技くぎの問題が整理されていません。これではまたいずれ同じ問題が指摘されることは間違いなく、業界はいつまでも不安定な状態のままです。というよりも、本来のパチンコ営業において事業側の経営バランスで決められるべきものまで、遊技機の性能でしか左右できないのであれば、営業者はやりようがない。こうした、事業者の自主性が失われてきていることへの危機感を、もっと共有すべきではないでしょうか。さらに気にしておきたいのは、賭博罪における例外規定として風営適正化法では本来、「著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機」がダメだという規定しかないのですが、今回、出玉率等の規制を変えるということは、改正しなければいけない具体的な基準が何か出てきたのか、それともこれまでの基準には何か違法な状態が含まれていたのか、これまで「著しい」状態だったが、今回、何%かの出玉の基準を変えることによって「著しい」ではなくなるのか、といったことが曖昧なんです。そういう意味でも、私はこの業界には業法というものが必要だと考えています。
「このままでは同じことの繰り返し」
理解が広がる業法の必要性
坂下 今回、余暇進がまとめるパブリックコメントを皆さんと相談しながら作成している際に思ったことが、理屈付けが弱い規制に対抗するためには、社会貢献実積とか業界が策定した自主規制で行っていることなど、生の声をもっと発信できる環境作りと、共通言語で話し合える環境作りの必要性です。法律には法律で、データにはデータで検証し、議論する環境です。
千原 まさにおっしゃる通りですね。反省すべき点はきちんと反省する一方で、何らかの指摘を受けた時に、きちんとしたデータを持って検証できる体制が業界には必要です。国会に提出された質問主意書でも、一読して依存問題のデータやカジノとの売上・産業比較において、事実誤認や誤解に基づいていると感じても、業界はそれを訂正せずにきました。そのため、誤解に基づいた報道や解説がそのまま引用されています。そういう点では、平成29年5月に全日遊連が行った新聞の社説への対応は見事でした。このようなことはこれからさらに重要になると思われることから、適時適切に対応出来るようにしたいと思います。
渡邊 社会貢献実積のアピールがあまり上手くないという点も含めて、業界全体の広報を正確に、そして効果的に行うセクションや、さまざまな情報を収集・分析する人材をきちんと用意すべきでしょうね。
千原 多くの関係者が業界の先行きに不安を感じています。私たち余暇進の活動について、これまで理解や認識が薄い他団体の方でも最近では「確かにきちんと定義してもらわないと、いつまでもこんなことが繰り返されるんだろうな」という切実な思い、変化を肌で感じます。
金海 こうした規則の改正や遊技機の撤去問題などが出た時には、どうしても風営適正化法での規制では曖昧さが残ってしまう感じがあって、我々が遊技機を外すにしても釈然としない気持ちを抱いたままでは、社会や行政との関係という意味でもプラスになりません。しかも、業としての不安定さが常につきまとってしまう。やはり業法は必要です。これまで、風営適正化法による規制が繰り返されたことで、法律というものは我々を縛るものだというイメージを強めましたが、本来はやってはいけないこと、逆にここまではやっていいという、きちんとした範囲が定まると、企業の経営や店舗の営業を安定させるものになります。余暇進が業法の必要性を唱え続ける理由はそこにあり、その理解は広がってきている感触があります。団体の垣根を超えて一緒に今の危機を乗り越えていこうという機運は、私も感じています。
渡邊 業法作りでもあったことですが、行政も政治でも業界が共通の意見としてとりまとめたものは、きちんと対応してくれるものですが、これまではそうしたまとまりがありませんでしたね。
千原 この厳しい経営環境が続くホールに対して法的根拠も責任の所在も曖昧なまま、商売の基本といえる遊技機撤去を求めることはこの業界の発展を意識した対応とは思えません。こうしたことを二度と繰り返さないためには、何をどうしていくべきか。余暇進がこれまで提唱してきたことをもっともっと掘り下げ、ホール経営の安定化を目指していかなければなりません。これは余暇進としてやるやらないというよりも、業界全体でやっていかなければいけないことで、余暇進も業界の一員として発信して行きたいですね。
金海 これまでは、業法が整うと大手企業がホール経営に参入するといって抵抗感を持つ人もいましたが、それもだいぶ変わってきていると思います。これまでも鉄道や流通といった大手が参入してきた業界です。今ではむしろ、残っているところが少ない。今のホール経営者は、それに打ち勝って生き残ってきたという自信を持っていいと思う。供給側でもそうです。それなのに、我々の経営の基盤が安定する道を放棄するのは順番がおかしな話です。
千原 そうですね。余暇進としては設立時の理念から外れることなく、引き続き業界の発展のために寄与することを目的に邁進していきたいですね。
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