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令和8年3月度部会を開催しました

開催日:令和8年3月10日

会 場:大都販売本社会議室およびオンライン

 

 3月10日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/井上美昭代表理事・会長)は、令和8年3月度の理事会・部会を開催した。

 約110名が参加した今回の部会では、今回は都留文科大学教授で昨年出版された書籍「社会学からみたギャンブル依存症 そんなにパチンコが悪いのか」の著者である早野慎吾教授を講師に迎え、講演を聴いた。

 

社会学からみたギャンブル依存症 ―5年間のパネル調査より―

都留文科大学 文学部 教授 早野慎吾 氏

早野慎吾教授

 

 早野教授は、2020年から5年間にわたり実施してきたギャンブル依存に関する大規模調査の結果について報告した。講演では、ギャンブルの定義や公営競技とパチンコの違いなどについて、平易な説明を交えながら解説が行われた。

 同研究の背景として、2013年の厚生労働省による調査が挙げられた。同調査では、依存症が疑われる人の割合が「4.8%(約536万人)」とされ、パチンコ・パチスロが主な要因と受け取られる形で報じられた。これに対し業界側からは実態との乖離を指摘する声も上がり、調査手法や数値の妥当性が議論の対象となった。

 その後、2017年調査では同割合が0.8%と大きく低下したが、早野教授はこの差について、診断基準の運用方法の違いが影響している可能性を指摘した。すなわち、DSM-5-TR(精神疾患の診断基準)では「過去12か月以内」の症状を基準とするのに対し、2013年調査では期間の限定が十分でなく、過去の経験者も含まれたことで数値が膨らんだ可能性があるという。

 こうした課題を踏まえ、教授はSOGSPGSIといった指標を用いた追跡型のパネル調査を実施し、種目別の依存傾向について基礎統計だけでなく、多変量解析などの分析を行った。

 その結果、宝くじは、依存割合自体は低いものの、参加人口が多いため、人数ベースでは依存が疑われる人の数が相対的に多くなる傾向が確認された。また、種目間で依存割合には差が見られるものの、参加人口の規模によって評価の見え方が大きく変化することが示された。

 さらに、パチンコの参加と継続に関する分析では、生涯経験率が高い一方で、現在も継続している層は限定的であることが明らかとなった。こうした結果について教授は、各種目の利用形態や参加動機の違いが影響している可能性を指摘した。

 また、近年はギャンブル依存症への関心が高まっている一方で、ギャンブルをめぐる問題は依存の有無にとどまらず、資金の流れや制度的な管理の在り方といった観点からも捉える必要があるとした。特にオンラインカジノを例に、違法・無許可のサービスを通じて資金が不透明な形で流通するリスクに言及し、反社会的勢力への資金流入を防ぐことや、適切な制度のもとで管理されることの重要性について説明がなされた。

 講演ではこのほか、公営競技とパチンコにおける還元率の違いや、日本における賭博文化の歴史、射幸心の位置づけなどについても言及があった。特に、パチンコはギャンブル分類の中でも行為者の関与(技術介入性)を伴う側面を持つ点について、参加者の認知や行動に影響を与える要因として示唆的であるとの説明がなされた。