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特別鼎談
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- 2015.10.26
ファン人口拡大に向けた業界の課題と環境整備を掲げる余暇進の役割
平成11年に立ち上げられた余暇進も設立から丸15年が経過しますが、その間、パチンコ業界内には様々な出来事がありました。そうした多くの出来事と並行して進行したパチンコ遊技人口の減少は、業界内の全ジャンルの関係者に大きな危機感を募らせ続けています。遊技人口回復に向けて、業界は何をすべきか。その中で、余暇進はどういう役割を果たしていくのか。金海、千原両副会長と当会の顧問弁護士も務める渡邊理事の3名に語っていただきました。
渡邊洋一郎理事
パチンコ業界は今、換金問題や遊技くぎ問題など、様々な問題が急速に顕在化してきています。そんな中にあって、ユーザーが減っていく、ホールが減っていくという流れが止まらない。それに対して余暇進はどういう現状認識を行い、何をしていくのか、非常に大事な時期を迎えています。
金海龍海副会長
今の業界における一番の問題は明らかにファンの減少です。1円パチンコの台頭でもって営業の基盤が変わっても、結局は遊技人口は減り続けている。私は今の機械がかつてと比べて遊べなくなっている点が気がかりで、それともうひとつ、まずは今のマニア化の傾向を改める必要性を感じます。ファンの減少は不景気とか他の遊びの発達とか、いろんな問題が絡んでますが、とにかく今の若い方々に遊んでもらえない状態をなんとかしないといけません。
千原行喜副会長
確かに、今の遊技機はマニア化が行き過ぎているように感じます。遊技機の中身も、その射幸性もマニアな層に頼ったものになっている。行政からはよく安心して安く遊べるようにと言われますが、私はそこに「もっと単純に遊べる」という要素が必要だと思います。パチンコ、パチスロは遊び方をここまで複雑にする必要があるのか、そして、ここまでコンテンツに頼る必要があるのかをホール、メーカー、周辺設備の各立場の方々に問いたいところです。いずれにしても、ファンの減少は業界全体の責任です。射幸性の規制があるなかで、その規制の一番上のところばかり追求してきた機械や営業の見直しが必要です。
金海
射幸性が高くて遊べないという状況では、特に今の若い層は敬遠しますよ。今の若い人たちは私たちの世代と違って堅実さがあり、そう考えると、逆にあまり射幸性に頼らないでも面白い遊びが提供できれば、様子はだいぶ違ってくると思うのですが。ここしばらく、そうした方向に業界は向かっていませんでしたね。勝ち負けがはっきりしている今のパチンコでは、若い人はついてくることはできません。
渡邊
私の目から見ても、もともと3,000万人がパチンコを楽しんでいたのが、今、1,000万人になっているその差は、本来、パチンコの持っている面白さとか遊技性の希薄化から生じているように映ります。
金海
最近はメーカーも利益率を上げるための効率的な動きかたをしてきていますが、1機種あたりの販売台数は落ちてますから、たとえば1台にかかるコンテンツ費用が相対的に高くなるなど、努力に追いつかない状況だと聞きます。私たちからみると、あまりコンテンツにこだわる必要はないのですが、今のファンが一時的に減ることを怖れるあまり、動こうにも動けないのだとしたら、それこそが問題です。かつてはそうしたコンテンツに頼らなくても多くの方が遊んでくれていたわけですし、そうした視点でもって、例えば私はパチンコ機でいえば、もっとくぎを増やして欲しいと言っているのですが、そういうことですら、なかなかな踏み出せない様子です。
渡邊
それと、パチンコ店には例えば喫茶店で時間を潰すようなことと同じ機能をかつては持っていましたが、それもなくなっていますね。そうした構造が変わってきているのはホールの営業方法の問題なのか、遊技機の問題なのかといった整理分析をして、「パチンコ遊技」の特徴を活かしていく方向性に視点を当てる必要があるのではないですか。いずれにしても、ホールとメーカーと、そして行政が目指す方向性をマッチングさせなければいけませんが、今はその三者がバラバラに映ります。
千原
まさにそうですね。余暇進はその名前の通り、各種の「環境の整備」をするというのが活動のベースにあります。余暇進の活動の中でも、非常に有意義な場として「部会」がありますが、せっかく供給側の方々も多く参加している横断的組織なわけですから、製品やシステムの発表、紹介の場や情報交換以外でも、供給側として今の業界をどう感じているのか、もっともっと意見をいただきたいですね。元々が余暇進では、理事会などでも供給側の立場としての考え方を求めるようにしていますが、そうすると、結構、いろんな忌憚のない意見が出てきますよね。議論が活性化するし、我々も勉強になります。ここでもっと、遊技人口の底上げや機械のことを議論していきたいですね。
金海
機械問題とは別ですが、私は社会全体に対して、どうも業界の市場規模の捉え方などのことで誤解があるのも、遊技人口の底上げの逆風になっているような気がします。市場規模を利益だと思われていたり、のめり込み問題に関連する数字的なもの、そしてファンの使用金額がその代表的な事例です。業界内の様々な数字を本当にきちんと捉え、理解してもらうようにしなければなりません。誤解のあるところはそれは誤解だと、業界自身が言うためには、やはりきちんとしたデータときちんとした分析がほしい。それを元に社会が受け入れてくれるような理論武装をすべきです。
渡邊
そうですね。見方が違うのではないかといったことは主張してくべきです。様々な情報に偏りがあるのであれば、それは特に若い人たちにとってパチンコを敬遠する一因もになります。私は、その元にあるのは、やはり現在の三店方式がどうもダーティだと思われるようになったことが大きいと思います。これがもっとオープンできちとしたルールで行われたならば、若い人たちも安心して遊んでいただけるのではないでしょうか。私は弁護士という立場なので遠慮なく言わせていただければ、それは遊技くぎ問題も同様ですね。
金海
余暇進は元々が「パチンコはこそこそしてやる営業ではない」「パチンコはこそこそしてやる遊びではない」という考えで、では何をどうすべきかを考えようと立ち上げた団体です。
渡邊
遊技くぎは大きな問題ですが、パチンコ機はまずはくぎの調整ができるというのが本来的な遊技機としての仕様ですから、今の法的なギャップがどうして生じているのか、どうすれば解決できるのかといったことを議論して、解決に導く必要があります。
千原
いずれにしても、今までこうだったからこれでいいんだ、と既得権益のように思っていたことが、実はそうではないんだよ、という事例が続いています。私は一連の問題の中で、ホールの中堅幹部などの若い社員が業から離れていっているという話を聞き、大変ショックを受けました。これでは業としての未来はありません。遊技くぎの問題、換金の問題などで若い社員が「なんだかグレーな業界だな」と思って辞めていくというのは、非常につらい話です。こうした課題を真っ正面から捉えて、安心して営業できる体制にするというのは我々の世代の責任として考えるべきです。例えば、2020年の東京オリンピックはパチンコの面白さを世界にアピールする絶好の場だと言う人もいますが、今の脆弱な基盤のまま、それが本当にできるのかどうか。理想論を述べるのはいいですが、現実を無視して語って意味はあるのでしょうか。
渡邊
今の業界の危機感を払拭するには、業法を制定して環境を整備するしかない状態にますます追い込まれていると私は考えます。余暇進設立時に掲げた方向性を忘れず、活動していくべきでしょうね。
金海
砂の上に立っていろいろなことをしても、それは崩れてしまう。そのことは余暇進設立時から抱いていた危機感です。この業界をどう変えていくのか、変えるためには何をすべきか、それこそ若い人たちを交えてもっともっと議論して、正面からあたっていく時期を迎えていることは間違いありません。