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10月度部会を開催しました
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- 2016.10.27
開催日:平成28年10月18日(火)
会 場:在日本韓国YMCA アジア青少年センター(東京都千代田区)
来場者:131名
平成28年10月18日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/笠井聰夫代表理事・会長)は、東京都千代田区の在日本韓国YMCA アジア青少年センターにおいて、第153回理事会ならびに10月度部会を開催した。
今回の部会では、サミー株式会社の里見治紀社長から「サミー株式会社の今後の方向性~感動体験を創造し続ける~」の演題で講演が行われたほか、同社の星野歩常務による「サミー株式会社の開発戦略について」とする話を聞いた。遊技業界は参加人口の減少・売上規模の低迷といったホールの営業環境の悪化や、遊技機市場において導入が進むパチンコの新基準機、来夏を切り替え時期としているパチスロの5.9号機といった遊技機開発のレギュレーション変更に対し、遊技機メーカーによる市場考察、開発戦略を直接聞き、ホール営業の参考とするべく10月部会の開催に至った。講師は当協議会会員企業の中からサミー株式会社へ依頼、快諾をいただいた。
部会の開会に先立ち挨拶した当協議会の千原行喜副会長は、上述の部会開催テーマについて説明する一方、遊技業界を挙げて取り組んでいる日工組の回収リスト機の対応の件で「8月末を撤去期限とした1次2次回収リスト分については、余暇進会員皆様のご協力をいただき、 100%の撤去ができた。12月末期日の撤去についても十分にご理解をいただけているものと思うが、12月末分は今年4月の国会質疑で国家公安委員長が答弁した内容に基づくものであり、我々業界も全団体で取り組んでいくことを宣言しているものでもある」と述べ、残る回収リスト分の適切な対応にさらなる協力を求めた。
「サミー株式会社の今後の方向性~感動体験を創造し続ける~」
サミー株式会社 代表取締役社長COO 里見治紀 様
「感動体験を創造し続けること」。これはサミー株式会社のミッションピラミッドの頂点に「存在意義」として掲げている。里見社長からは如何に同社がこの考えに沿って取り組んでいくのかを中心に話があった。
はじめに自身の人生曲線(経年と幸福度)を表し、プロフィールを伝えるユニークな自己紹介があり、次にサミーとして遊技業界のキーワードに捉えている数値として「1.7%=10代男性の遊技参加率」、「87%=遊技参加者の24歳までの遊技開始比率」、「47%=20代前半までに停止する割合」などを取り上げ、若年層の取り込みと定着が業界の大きな課題であるとの認識を示した。
そこで同社では広義の販促活動として「BtoC」(Business to Customer=個人顧客向け対応)へのシフトチェンジを進めていると話し、その具体的な取り組み内容を紹介した。
里見社長は「現在16歳から36歳までの年齢層は、2000年以降に成人を迎える世代が〝ミレニアル世代〟と呼ばれている。この世代の特徴は物心ついた頃よりデジタル機器やインターネットに自然と触れてきた世代であり、ビジネスターゲットとするには購買契機のきっかけも旧来のマーケティング手法では反応の鈍い世代でもある。例えばTVCMを代表するプッシュ型の広告には反応が薄い。テレビ離れという状況もあるが、変わりに口コミやSNSでの友人・知人の評価に反応する世代だ。自動車産業でも若者の車離れが指摘されて久しく、トヨタ自動車でさえ止められない問題を、我々はパチンコ・パチスロでチャレンジして行かなければならない」、「初代の〝パチスロ北斗の拳〟が登場以来、ホールから北斗の拳の機種が無くなった事はない。しかし遊技を停止したプレイヤーにはシリーズ機が登場したことが伝わっていない現状があると考えている。動画サイトやweb広告、設置後のPR活動を通じて、離れてしまっている人たちへ情報を伝える取り組みを実行していきたい」と語り、課題の抽出に対して、その克服の難しさを部会参加者と共有した。
近年、サミーでは、この若年層の取り込みについて、ミレニアル世代を意識した「OtoO」(Online to Offline=インターネット上から現実行動への誘導)の活動を展開している。まず遊技機に搭載している「マイスロ」機能。このwebサービスでは利用者が、どの機種でどのくらい遊んでいるのかを把握している。またグループ会社においてブラウザ型シミュレーションゲーム「パチスロ・パチンコオンラインホール777TOWN.net」、シミュレーションアプリ「777NEXT」、webメディア「ぱちガブッ!」、ライブイベント「MAX BEAT!!」を展開。このうち777TOWNでは利用者の60%がミレニアル世代で、会員の20%が遊技未経験者か遊技停止者の状況にあるという。「この人たちに如何にホールへ足を運んでもらうかが、私どもが業界に貢献できるものだと思っている」と話し、OtoOの足掛かりとなっている事が紹介された。
このほか、サミーの経営基盤に関わる取り組みとして、ユニバーサルエンターテインメントと共同で設立した「株式会社ZEEG」を一例に挙げ、遊技機メーカーが共通で抱える部材費の高騰問題に言及。里見社長は「両社の経営陣で危機感を共有できた。遊技機開発は従来通り各社で取り組み、筐体開発・筐体部材を共有する仕組み」と語った。さらに「サミーではG30という利益率30%の目標を掲げている。これは社内構造改革や原価改善、リユース戦略の強化といったインナーでの自助努力を徹底的に実施することで達成しようという考えだ。利益率を上げることで直接的には利益を生まないBtoC施策への大きな投資がより戦略的に実行できるようになり、また開発面においても大きな予算を持って、チャレンジングな機器開発が可能となる。それらが結果として遊技機業界全体の再浮上、活性化へ繋がると思っている。ZEEGはG30に向けた社内に対する経営陣からの意思と覚悟を示すものとなった。」と続けて述べ、自社の経営資源を強化し、高い品質の製品とサービスを提供し続けることが業界貢献に繋がっていくとの旨を語った。
「サミー株式会社の開発戦略について」
サミー株式会社 代表取締役常務 星野歩 様
星野常務からは同社ビジョンである「革新者たれ」、「新しいことはサミーから」に基づく遊技機開発への取り組みと今後の商品戦略について話があった。冒頭、過去のリリース機種を振り返りながらコンテンツタイアップやゲーム機能に係る新規性を打ち出してきた歴史が披瀝された。
今年4月以降のパチンコ新機種で本格リリースとなった日工組内規に基づく新基準機については「成果を上げていると言える機種がいくつか出てきている。内規変更による影響を必要以上に心配することはないだろう」と現時点での印象を語った。また新旧基準を比較した射幸性の面では、同社の「CR北斗の拳 剛掌」(2010年リリース、確変80%ループ、約2000個出玉当り中心のMAXタイプ)と、確変継続65%の新基準機を比較した際、2000個出玉当り部分での割合や初当りからの出玉期待値5000個とした割合に大きな差異はないと述べ、新基準機においても現行機と遜色なく、遊技いただけると考えていると話があった。
一方、5.9号機の呼称で新基準機開発への着手がはじまっているパチスロについては「5号機時代に入り最も稼働が高かったのは2010-2011年の当時で平均約1.1万枚であった。代表機種はエウレカセブンや鬼武者といったA+ARTタイプ。5.9号機ではARTの入り方が難しくなったという事は言えるが、過去稼働が良く、プレイヤーから支持が得られる機械の開発は可能と考えている」と語った。
サミーの商品戦略に関しては「効率的な開発の推進」として開発時間の短縮を目標に掲げているという話があり、具体的には「時間短縮によって出来た時間を使い、しっかりと打ち込みブラッシュアップに努めることで商品クオリティのアップにつなげていきたい」とする考えを述べたほか、品質向上の点では出荷後に故障しない、トラブルを起こさないことを最大命題とし取り組んでいる事などを伝えた。
第153回理事会は同社別室において午後1時30分より開催した。この日の理事会では10月12日開催の9団体連絡会議に関する報告ならびに回収機リストに対する当協議会の活動状況等について情報を共有した。審議事項では委員会活動や次回部会等に係る諸案件を協議した。