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平成28年度 定時社員総会

開催日:平成28年5月17日(火)

会 場:インターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)

参加者:178名

 

 平成28年5月17日、一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/笠井聰夫代表理事・会長)は、東京・港区のインターコンチネンタル東京ベイにおいて、平成28年度定時社員総会を開催した。

 総会では平成27年度事業報告や決算報告ならびに監査報告、平成28年度事業計画、平成28年度収支予算案の議案を諮り、いずれにも可決承認された。総会後は、徳島文理大学総合政策学部総合政策学科講師の鍛冶博之先生から「パチンコ産業史に魅せられる~私の研究履歴~」と題した講演が行われた。

 講演終了後は別室にて、関係諸団体のリーダーを来賓に招き、懇親会を行い、当協議会の会員間の親睦を深めた。

 

平成28年度(第15回)定時社員総会

 午後2時30分より開始した定時社員総会には、社員総数95社中90社(178名)が出席した。総会冒頭、来賓として、警察庁生活安全局保安課から大門雅弘課長補佐が来場。ご挨拶をいただいた。また、議事に先立ち、当協議会代表理事の笠井会長から次の挨拶が述べられた。

 

笠井聰夫代表理事

笠井聰夫代表理事

 

 「この1年、振り返りますと、高射幸性遊技機の回収・撤去やくぎ問題等をめぐってさまざまな動きがあり、一般紙にも再々取り上げられ、国会の場で議論が交わされる等、業界にとっては大変厳しい年でありました。幸い、メーカー、ホール、その他、業界挙げた真摯な取り組みにより所期の解決策にこぎつけました。

 今年はこの合意に基づき、整斉と新しい遊技機への入れ替えや流通健全化に向けた施策の定着がはかられることとなっております。この取り組みはある意味で業界の積年の課題に対する回答とも言えるものであり、これを機会に業界のさらなる再生発展につながっていってもらいたいと願うものであります。

 目下、産業界では性能偽装や企業統治に関して不祥事が相次ぎ、世間から厳しく指弾されています。言うまでもなく、企業は業種業態の如何を問わず、信用が第一です。とりわけ娯楽産業にあっては信用なくして業は成り立ちません。まさにその思いが余暇進立ち上げの思い であっただろうと私は理解しております。

 業界のおかれた状況は当面、大変厳しいものがありますが、皆さんにおかれましては今年も業界の魁を任じて健全化に向けた環境整備にご精進ご精励いただくとともに、余暇進の発展に一層のお力添えを賜りたいと願う次第であります」

 

(左から)新井修常務理事、大原栄奉常務理事、坂下大貴理事

(左から)新井修常務理事、大原栄奉常務理事、坂下大貴理事

 

 議事は当協議会の大原栄奉常務理事、新井修常務理事、坂下大貴理事の議長団の下、審議に入った。平成27年度事業報告では、当期間中に開催した部会・セミナーならびに常設委員会の活動内容等を報告。また他団体との協調施策では、継続的な取り組みとなっている遊技産業活性化委員会ワーキンググループでの活動や、新たに、高射幸性遊技機の取扱いに関する6団体合意、検定機と性能の異なるおそれのある遊技機の撤去・回収に係る6団体声明へ、当協議会も業界団体の一員として参画したこと等を収めた。

 平成28年事業計画案については、今年度の重点目標を『遊技業界の将来展望を拓くためにも、積極的な政策提言活動を行う』として、具体的な行動目標に「現行法運営上の諸問題を解決するために、業法制定に向けて研究・活動する」ことを、引き続き取り組んでいるほか、今年度は次代を担う後進の育成に、積極的に注力していく事を決議した。

 

ご講演:徳島文理大学総合政策学部 鍛冶博之 様
「パチンコ産業史に魅せられる~私の研究履歴~」

 鍛冶先生は大学において商業史、商品史を専門に研究し、主な著書に「パチンコホール企業改革の研究」(文眞堂)を出版されている。産業史を専攻される中で、学生時代の就職活動にて、ホール企業への面接を複数受けた経験から、ホール企業の歴史に興味を持ち、研究テーマに取り上げ、長年に亘り産業史の視点からホール企業を続けられている。

 講演では、冒頭、自身が学生時代に就職活動(2000年当時)を通じて経験したホール企業での面接体験談や、そこで得た「他の有名企業よりも明確なビジョンを語っていた。本気で企業を健全化しようとする姿勢と、人材を育てようという気概に感銘を受けた」というエピソードをユーモアに披瀝。しかし、実際にはホール企業への就職を親へ相談したところ、強い反対を受けたことや、自身も社会的な認知の低さは学生ながら感じていた事もあり、それはなぜなのか、に関心が移り、ホール企業を研究テーマに商業史の観点から調査・研究に入ったと自己紹介があった。

 その上で鍛冶先生は「大学生向けの会社説明は本当に大切だと思う。それは、その場で学生たちは、はじめてパチンコを企業として捉えるためだ。いかに企業説明会で学生をひきつけられるのかが重要になる。業界の方にはこの点を強く意識してほしい」、「ホール企業の中では、実際に両親を説得するため自宅を訪問する企業もある」と語った。

 一方、パチンコ業界の社会的認知の低さについては、今なお根強く残っており、それは学会で論文を発表しても、学会に出席している先生たちの中にもあると感じていると話があった。

 他方、日々学生たちと交わっている中で、パチンコに参加する学生の目的には「お金よりも暇つぶしであったり、なんとなく、といった参加動機としてモヤッとした意見が多い。そこで思うのは、パチンコホールはアミューズメント空間というものだけで捉えられていないということ。それであるならば、集客戦略として生活空間として位置づけが必要なのではないかと考えている」と、娯楽やレジャーが多様化している中で、パチンコが選ばれる理由が学生たちの中で明確ではないと、活きた情報が伝えられた。また「パチンコをしない学生の理由は明確で、イメージで悪いから遊ばない、というもの。しかしこの理由も参加しない動機としてはモヤッとしたものだ」と伝えた。

鍛冶先生はこれら社会的な認知の低さや、学生による参加不参加の動機がはっきりしていない事実、そして遊技業界が取り組む健全化というものを調べる中で「健全化とは何か。その定義が明確ではない。どうしたら健全化なのかの説明ができない状況にある」という業界側の問題点を指摘。その理由を「業界はマイナスイメージの払拭に努めているが、元がマイナスにプラスを加えると、マイナスを増幅する側面があるように感じている」と語った。

 具体的には「遊技業界や行政は現在、業界の健全化について、それは射幸性の抑制であったり、依存対策の推進、CSRの取り組み、不正遊技機の排除、賞品の取り揃え充実、広告宣伝の在り方など、課題を挙げて取り組まれている。そのひとつひとつが改善された結果、ホール企業が望んでいる効果が得られるのか。目的に合致しているのは考えるべきだ」と話し、長年取り組んでいる健全化施策の成果の先に、ホール企業が求める社会的認知の向上と、多くの国民に愛される大衆娯楽の実現が叶うのか、今はその効果を検証する時期にあるのではないかと示唆した。

 また、検証するためには商品普及論の観点からも、一度大学生を対象とした大規模調査を行う必要性を説きつつ、マイナスイメージの払拭に向けた他業界での成功・失敗事例の参考と比較を進めるべきだと諭した。

 鍛冶先生は「イメージは個人が作り上げているものだ。だから遊技業界にとっての健全化というものをホール企業や業界全体でそのイメージを業界に携わる個々人まで落とし込むことが、結果的に、企業や業界のイメージを作っていくものだと考えている」と述べた。そして「私的には、業界の健全化とは〝長年にわたって定着したマイナスイメージを払拭し、社会に受け入れられ支持されること〟だと定義している」とし、行政が求める健全化とは別に、業界にとっての健全化を定義し共有することが肝要であると語った。

 

2016総会懇親会

 

 関係団体のトップや幹部の多数の出席をいただき開かれた懇親会では、はじめに笠井会長から「娯楽産業は国民精神の健全な発揚に貢献する重要な使命を担っております。そうした思いの上に、私ども、皆様と連携し、声を1つに、世間の業界に対する正しい理解と認識の向上に努めてまいりたいと期しておるところであります」と挨拶があった。続いて、来賓を代表して全日遊連の片山晴雄専務理事より祝辞を頂戴し、日遊協の庄司孝輝会長に乾杯の音頭を取っていただき、終始和やかな雰囲気の中、来賓方を交え、会員間の親睦を深めた。

 懇親会の終わりにあたり、閉会の言葉を述べた当協議会の千原行喜副会長は、鍛冶先生の講演内容にふれ、次のとおりに挨拶した。

 

千原行喜副会長

千原行喜副会長

 

 「業界は健全化という言葉だけが先行し、それが指す意味、内容、実現させたい将来像を示せれていない中では、社会に誤解を招くというお話だった。また学者の立場から我々業界が取るべき戦略について、方向性を示していただいた。業界の中からでは気づけない点があることを指摘いただいたと思う。業界には日々大勢のお客様と、100万人に上ろうかという就労者を抱え、我々はその大きな責任に応えていかなければならない。余暇進もその責任を果たすべく、一所懸命、でき得る限りの努力をしていきたい。引き続き、皆さまにおかれては、ご指導、ご鞭撻を賜りたい」

 この挨拶に対し、参加者一同、盛大な拍手をもって賛同の意志が示され、本懇親会を締めくくった。