お知らせNEWS
2017秋季セミナーを開催しました
-
- 2017.11.24
開催日:平成29年11月14日(火)
会 場:ホテルインターコンチネンタル東京ベイ(東京都港区)
来場者:189名
一般社団法人余暇環境整備推進協議会(余暇進/笠井聰夫代表理事・会長)は、東京都港区のホテルインターコンチネンタル東京ベイにおいて、第165回理事会ならびに平成29年度秋季セミナー「~新時代に向けて~」を開催した。
秋季セミナーの講演に先立ち笠井会長から開会の挨拶、警察庁生活安全局保安課の津村優介課長補佐による行政講話が行われた。セミナー第一部のパネルディスカッションでは「成熟期の業界未来予想図II」のテーマで、パネラーに著名な業界コンサルタントを招き、業界が抱える課題と、将来への指針についての見解を傾聴した。また第二部講演には回胴式遊技機商業協同組合の大饗裕記理事長を招聘。今年、理事長に就任して間もなく、行政から規則改正が起案され、事前交渉からパブリックコメントの開始、そして現在、膨大な数に上るとされる認定作業の対応にあたっている状況等について講演をいただいた。
開会挨拶 余暇進 笠井聰夫 代表理事・会長
「IR推進法の制定を受けて、我が業界では依存対策が課題となり風営適正化法施行規則の改正までに至ったことは周知のとおりである。この度の規則改正では出玉規制や管理者業務における義務を強化する内容であり、業界関係者にとっては大変厳しい内容のものであった。余暇進はパブリックコメントで改正案の問題を指摘し、慎重な再考を求めたが原案通りの改正となった。ただ、このパブリックメントに際しては余暇進の法律サポート部会、遊技機研究委員会の日頃の勉強の成果をまとめた提言であり、業界の在り様に、議論の布石を投じるものであった。将来につながっていくものとなるよう期待している。
レジャー白書によると昨年の遊技参加人口は過去最低の940万人であったと報告されている。遊技参加人口の長期低迷を改善すべく、今後の業界の方向性をどうするのか、当面の状況打開に何をすべきか、が業界の最大の課題である。業界を挙げて真剣な取り組みが求められている。
余暇進は、業界がこのように厳しい状況であるからこそ、政策提言集団としての真骨頂を発揮してまいりたい。会員企業が集まり知恵を出し合うことで、必ずや打開策を見出して行けるものと強く期待している」
第一部 パネルディスカッション「成熟期の業界未来予想図II」
パネラーに株式会社船井総合研究所上席コンサルタントの奥野倫充氏、株式会社第二営業部顧問の堀川和映氏、有限会社トータル・ノウ・コネクションズ代表取締役の髙橋正人氏、株式会社エンタテインメントビジネス総合研究所マーケティングプロデューサーの永井優志氏の4名を招き、各パネラーから変革期を迎えつつある遊技業界の方向性について意見を聞いた。
船井総研の奥野氏は、小売業界において大型量販店の登場から大型量販店同士の競争から、今日では大手1社が残るに至っている状況を遊技業界も鑑みる必要があると指摘した。
奥野氏は「確かに資本力のあるところが強いという図式は間違いない。パチンコホールでは大型店による人気機種の大量導入という方法がそれにあたる。小売業界をなぞると最終的には二強の争いですらなく、その方法では1社しか残らないのではないか。それが私の考える成熟期の未来予想図である。しかし遊技業界はその価値しかこれまでに提供していないとも言える。それで良いのだろうか。お客様から見て魅力的に映るのだろうかを考えた取り組みが必要だ」と話し、人気機種ではなくバラエティやマニア機を支持するお客様の満足度アップに特化。徹底追求することで中古機主体で4円Pの稼働を伸ばしている店舗の事例を紹介した。
営業戦略上における価値の重要性を説いた奥野氏に対し、堀川氏は人材の価値を唱えた。
老舗和菓子店の経営指針を取り上げ、企業の永続性には絶えず変革がともなっている点を紹介。和菓子を提供し続けているという主体はそのままに、どの商品をどのように提供してきたのかは常に変化しており、商品自体も過去に大きく支持を得たもののまま、今日に至っているわけではないと話した。これはゲーム業界でも同様のことが言え、かつてのヒット作と新作を比較して製品化する状況が若手の台頭を阻害し、消費者ニーズとの乖離を生んでしまっている側面があるとも紹介した。
堀川氏は「年を取ると保守的な発想になる。もし製品化の前に消費者が選択できる環境があるのであれば、思わぬものがヒットする可能性が出てくる。ゲーム業界が好事例だろう。前述の老舗和菓子店では率先して若手に店長を任せ、様々なチャレンジをさせている。それは手法を学ばせるだけではなく、最終的には伝統や風俗、文化を学び、感性を磨くところへ行きついていく事に価値を見出しているからだ」と話した。
人口動態の面では外食チェーン店でも人材確保の困難から店舗閉鎖する企業が現れている一方、数々の企業の偽装問題が注目される背景には、事象よりも過程のコンプライアンスが重要視される社会となっていること、マーケティング理論においても現状の延長戦上にイノベーションはないこと、共働き世帯が当たり前となり可処分時間が減少している中で、遊技にどれだけの人が時間を割けるのかといったライフスタイルの変化、所得格差の拡がりも予想すると、遊技業界も提供するものの価値を柔軟に変革させていく必要がある。その原動力に欠かせない人材の育成に、経営資源を少しでも分配を高めて欲しいと訴えた。
髙橋氏は奥野氏が語った戦略上の価値と対となる営業上の品質管理の価値について話した。はじめに規則改正に端を発する取扱い遊技機の使用期限のタイムスケジュールを示し、営業シーンの移り変わりを来場者と共有。それほど長くない時間の間に、商品構成が変化し、その性能もまた変化することから、提供方法を含めて主にパチンコのミドルやライトミドル、ライトなどと呼ばれる遊技機の取扱い区分を整理し、再構築していく必要性が出て来ると指摘した。
遊技機の性能変化については出玉や確率・期待値、コンテンツ等とあわせたゲーム性バランスからカテゴリー分類を再考すべく、表を示してプレイヤー視点で共有できるものを思案し、かつ「自店舗の客層は何を求めているのか」、「求められているものに対し何を提供するか」を論理立てて欲しいと語った。
その上で品質管理についてはパチンコでも設定が搭載される点を見越し、設定値の変化が営業成績に及ぼす範囲を具体的な数値をもって把握し、運用できるようスキルを磨くよう、資料を使いながらいわゆる係数管理術を今から身に着けるようアドバイスを贈った。
永井氏からは同社が毎年調査を行っているパチンコ・パチスロプレイヤー調査の結果などを使い、射幸性と射幸心の違いについて話をはじめ、遊技機のスペックに由来するものが射幸性、営業内容や提供内容に因るものが射幸心であると区別した上で、次の話をした。
永井氏は「一玉の価値を重視しているプレイヤーは回答者全体の7%に過ぎない。また若年層は低使用金額、短時間遊技を求める割合が高い。中高年層は若年層よりも使用金額は増えるが、月の使用可能額の範囲で、参加回数を増やしたいというニーズがあることもわかっている。では、これらの需要に対して店舗が提供している現在の価値はマッチしているのか。ターゲットはあっているのか」、「規則改正により射幸性が変化する。遊技動機となる射幸心は店舗がコントロールできるものだ。かつて店舗は営業のバランスを整えるために、進んで自主規制を実践してきた経緯がある。遊技機メーカーは店舗の営業形態に沿った遊技機開発をしてきた経緯がある。ならば店舗は(先ずは、プレイヤーを受け入れる環境をつくり上げたその上で)業界としての意見を集約し要望をメーカーに伝えていくこと、必要であれば行政にも意見を届けることが肝要である」と話した。
第二部 講演「新規則時代の展望と役割」
講師:回胴式遊技機商業協同組合 大饗裕記 理事長
大饗理事長からは理事長就任以来起こった規則改正関連を中心とした業界動向について話があった。講演では、現在進行中である現行規則機の認定作業について、店舗においても作業が捗るよう配慮が求められたほか、規則改正に関しては、その発端となった依存問題について業界として真摯に受け止めなければならない事を述べる一方、射幸性と依存問題の関連性については因果関係が立証されているものではなく、今規則改正によって射幸性が抑えられるものの、依存問題の解決に直結するかは注視が必要だと所感が語られた。
また「今回の規則改正では、これまで業界が積み重ねて来た適度な射幸性議論が無くなってしまったと感じている。今回の規則改正は政府の政策に起因していることを思えば、業界は国会に対しても理解を求めていく努力が必要であったのだろう。日頃からしっかりと業界を理解してもらえるような付き合いをしなければ、業界を守っていけないのではないかと感じた。それは政治の分野だけでなく、業界の外から影響を与える様々な方面の方の意見を聞くことでもあると考えている」、「余暇進では結成理念のもと政策・提言をなされている。パブリックコメントは立派なもので、業界人みんなに読んで欲しいものだと思っている。私は遊技業界を守ることが大事であるという意思で、業界がひとつにまとまる政策・提言、方法論が出されることを期待している。ひとつの政策の下で全団体が集まり、結論を出して、進んでいくことが大切なのではないか」と語った。